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高齢者・口腔保健・ガイドライン

高齢者・口腔保健・ガイドライン

Ⅰ.研究の全体像と研究目的

 超高齢化、疾病構造の変化、医療財政の逼迫など日本の健康問題を解決し人々が安心して暮らすためには、看護小規模多機能型居宅介護(以下、看多機)のような医療依存度の高い人々にも対応した訪問・通所・泊まり等の複合サービスを包括的に提供できるシステムが重要である。一方で、看多機は多様な機能をもつだけに、そこに従事する看護師にはどのような能力が要求されるのか、そのコンピテンシーを明らかにする必要がある。また、そこで提供されるケアの質はどのように評価することができるのか、サービスの質評価システムを作成し、継続的な質改善を行う必要がある。そこで本研究では、以下のことを明らかにするために研究を行う。

① 看多機で働く看護師のコンピテンシーの明確化:看多機で勤務経験3年以上の看護職を対象に行動結果インタビューを行いコンピテンシーの要素を抽出し、デルファイ法により検討する。

② 看多機のケアの質評価システムの構築:①の結果を取り入れ、よい効果をあげている複数の施設の参加観察を行い、構造、過程、アウトカムの側面から指標を開発し、妥当性を検証する。

 

Ⅱ.研究の背景

地域での療養生活を担う看多機の重要性

 わが国は超高齢社会に突入し、疾病構造や社会構造の変化、国の財政上の問題に直面しており、地域で療養生活を支え看取る体制作りが急務となっている。平成12年介護保険法が成立し訪問看護ステーションが明文化されたが、限られた時間の中での対応を強いられていた。そこで、平成24年、看護訪問・訪問介護サービス、通所サービス、泊まりサービスなど多様なサービスを1つの事業者が提供する「複合型サービス」が創設され、平成27年度より「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」に名称変更された(図1)。看多機は看護職が主体となり、医療依存度の高い人々に対応した複合したサービスを提供できるため、利用者や家族の状態に即応し柔軟に対応できるが、歴史が浅いため、その役割は必ずしも明確ではなく、普及は進んでいない。

看護ケアの質向上に必要な枠組み

 地域で医療依存度の高い人々の健康問題を確実に改善するためには、まずは看多機に従事する看護師に必要なコンピテンシーを明らかにする必要がある。コンピテンシーとは卓越した成果を生む基となる総合的な専門能力のことであり、単に知識、技術だけでなく、意識・姿勢・考え方・行動様式を伴う能力のことである(McClelland et al., 1977)。次に、看護の質向上のための質評価・改善システムについて検討する必要がある。Donabedian(1968)は、システム評価の枠組みとして構造(structure),過程(process),アウ トカム(outcome)をあげたが、これらの枠組みを使い看多機で提供される看護の質を測る指標を構築することで、看多機の役割と今後の可能性を明確にできる。

 

 

Ⅲ.研究計画

平成30年度

①看多機で働く看護師のコンピテンシーの明確化

1)行動結果インタビュー調査

 看多機で働く経験が3年以上の看護師 約30名を対象に、行動結果インタビュー(Behavioral Event Interview: BEI)を実施する。BEI は McClelland et al.(1977)がコンピテンシーを抽出する際に開発した面接方法である。それを基にインタビューガイドを作成し,看護実践で心に残った事例ついて、具体的にどのような行動がとられ、その行動の基にはどのような考えがあったのかを対象者に語っていただき録音する。質的記述的分析を行い、カテゴリー化する。

2)デルファイ法による検討

 看多機で働く看護職 約100名 (全国の看多機へ質問票発送)を対象とし、1)で抽出されたコンピテンシーについて5段階リッカ―ト・スケールで質問票を作成し、その妥当性について回答を求める。各項目の平均スコアを算出し、集計結果を対象者にフィードバックする過程を3回繰り返し意見の収束をめざす。

 

②看多機のケアの質評価指標の開発

1)構造・過程の構成要素の抽出

 文献レビューにより、質の高い看護ケアを生む構造および過程に関する構成要素について整理する。構造に関しては文献レビューをもとに設定する。過程については、①で明らかになったコンピテンシーと文献レビューの結果を基に設定する。

2)アウトカム指標の開発

i)センシング技術と計算知能工学を用いた指標開発
言語的表現が難しい場合など多様な状況下でのアウトカム指標として、各種生体センサや画像情報等の利用を検討する。心拍変動のような指標や表情をセンサ・カメラにより取得する。得られた情報を複合的に利用し、計算知能技術を用いて満足度の段階に分類する。

ii)経済的指標の開発
看多機での看護の質が経済的にどのような効果を持つか、ファクトファインディング(実態調査)を行い丁寧な検討を行い暫定的な指標を作成する。指標候補については平成33年度に妥当性の検討を行い精錬させる。

iii)看護領域指標の検討
文献レビュー:これまでに提案されたNursing Sensitiveなアウトカム指標について整理する。

 

平成31年~平成32年度:看多機のケアの質評価指標の開発とシステムの構築

1)構造、過程指標の精錬

 平成30年度に明らかにされた構成要素に含まれる測定可能な看護技術や看護行為を見出すことを目的に、看多機をフィールドとして参加観察を行い質的に分析する。

2)アウトカム指標の開発

 平成30年度に引き続き、以下の開発を進める。

  i)センシング技術と計算知能工学を用いた指標開発

  ii)経済的指標の開発

3)システム設計と運用方法の検討

 

平成33年:質評価システムの試行と妥当性の検討

1)開発された質評価指標を用いた第三者評価の実施

 看多機 約5件を対象に申請者らが訪問し、作成した指標にそって、インタビューおよび観察行い以下の点について検討する。i) 開発された指標データの採取可能性、ii)内容妥当性 

2)自己評価ツールの開発

 専門家の討議により、自己評価ツールを作成する。またシステムの精錬をはかる。

3)妥当性の検討

 開発された自己評価ツールを用いて、全国の看多機(平成29年現在では357施設)を対象に郵送調査を実施し、看多機の構造、過程、アウトカムの各指標における実態を把握するとともに、指標相互の関連性についても検証する。

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